自動運転車の自動車保険

近ごろ技術の進歩により現実味を帯びてきた自動運転車への注目度が高まっています。損害保険会社でも自動車保険の中に要件として取り入れることを考えなければならない時代になってきました。自動運転車に関する自動車保険の現状について以下に紹介します。

• 自動車保険はどの程度対応しているの？
• 自動運転車による事故被害の本質

自動車保険はどの程度対応しているの？

自動運転車に対応している損害保険会社は、現在のところ以下の2社^※1のようです。それぞれの保険の内容についてご紹介します。

東京海上日動火災

既存の自動車保険契約に「被害者救済費用等補償特約」を追加。

「被害者救済費用等補償特約」

• 開始日＝始期契約が2017年4月1日以降対象
• 自動セット
• 追加の保険料はなし
• 特約の主な内容
  ご契約のお車に想定していない動作が生じたことにより事故が生じ^※2、被保険者に法律上の損害賠償責任がないことが認められた場合、被害者に生じた損害を被保険者が負担するために支出する費用を補償する。^{※3、※4、※5}
  上記、東京海上日動火災発行のニュースリリースより一部引用
  https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/161108_02_.pdf

損保ジャパン日本興亜

• 開始日＝始期契約が2017年7月1日以降対象
• 『THEクルマの保険(個人用自動車保険)』、『SGP(一般自動車保険)』へ下記新規特約の追加と既存特則内容の改定

「被害者救済費用特約」を追加

• 自動セット
• 追加の保険料はなし
• 特約の主な内容
  ご契約の自動車の欠陥・不正アクセス等により人身事故または物損事故が発生した場合で、被保険者に法律上の損害賠償責任がなかったことが確定したときに、被害者を救済するための費用をお支払いする特約です。
  人身事故は対人賠償責任保険の保険金額を限度とし、物損事故は対物賠償責任保険の保険金額を限度とする。

車両保険:無過失事故の特則(自動セット)の改定

• 自動セット
• 追加の保険料はなし
• 主な改定内容
  改定前は、「相手自動車との衝突・接触事故においてご契約の自動車の運転者および所有者に過失がない場合、事故後の継続契約における等級に影響しない」としていました。
  改定後は、衝突・接触の対象物を自動車以外にも拡大する。これにより、「ご契約の自動車の欠陥・不正アクセス等に起因して自動車以外(ガードレール・家屋など)と接触した場合」などでも継続契約の等級に影響しない仕組みとなります。

上記、損保ジャパン日本興亜発行のニュースリリース、パンフレットより引用。
https://www.sjnk.co.jp/~/media/SJNK/files/news/2016/20170227_1.pdf
https://www.sjnk.co.jp/~/media/SJNK/files/kinsurance/automobile/thekuruma/thekuruma1707.pdf

自動運転車による事故被害の本質

上記に紹介した保険の内容には「自動運転」といったキーワードがありません。理由は自動運転車による事故被害の本質が、「事故原因が分からない」、「誰が責任を負うべきなのか確定しない」ということにあるためだと思われます。
そのような状況になってしまうと一番最初に救済されなければならない被害者が最も不利益を被ることになってしまいます。
そのような状況を回避するため、上記の損害保険会社では、被害者救済を第一として上記新規の特約追加、既存保険内容の改定を行いました。
保険会社においては、今後も技術の進歩による事故の内容の変化に伴いサービス内容を改善していくと思いますが、ドライバーにおいてもそのような社会状況の変化に応じて保険選びの見方を少し変えていかなければならないのかもしれません。

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• 他に三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、「自動走行実証実験総合補償プラン」として実験を対象にした保険を提供していますが、おそらく一般の方が利用することは少ないと思います。
• 客観的な事実により確認できる場合に限る。
• 被保険者に法律上の損害賠償責任が認められる場合、現行の賠償責任保険で補償する。
• 本特約保険金を請求するか否かの決定は被保険者の選択によります。また、被害者に生じた損害額のうち、被害者自身の過失により生じた損害額等を控除した額を保険金として支払う。
• 本特約により東京海上日動火災が保険金を支払った場合、東京海上日動火災は賠償義務者に対する損害賠償請求権を取得する。

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